iPadの購入を検討している方に向けて、「iPadのセルラーモデルとは?」や「Wi-Fiモデルとの違いは?」について詳しく解説します。
「セルラーモデルかWi-Fiモデル、どっちにしようか」と悩む方は多いと思いますが、結論を先に言うと「基本はWi-FiモデルでOK」です。自宅や職場などWi-Fiのある環境でしか使わないのならセルラーモデルは不要です。
ただし、地図・ナビアプリの使用などで正確な位置情報を取得できるGPSが必要ならセルラーモデル一択です。また、毎回のテザリングが面倒という場合も、スマホ感覚でモバイルデータ通信ができるセルラーモデルのほうが便利でしょう。
ぜひ本記事を、セルラーモデルとWi-Fiモデルどっちを選ぶべきかの判断材料にしていただければ幸いです。
iPadのセルラーモデルとは?
iPadのセルラーモデルとは、スマホのようにモバイルデータ通信ができるモデルのことです。さらにGPSを内蔵するため、正確な位置情報を取得できます。
2025年現在、以下の6つが現行モデルとして販売されていますが、それぞれにセルラーモデルとWi-Fiモデルが用意されています。
モバイルデータ通信が可能
iPadのセルラーモデルは、ドコモやau、ソフトバンク、格安SIMなどの通信事業者と契約することでiPad単体でモバイルデータ通信が可能です。

Wi-Fiがなくても契約する通信事業者が対応するエリア内であればネットに接続できます。Wi-Fiを探す必要はありません。
一方で、Wi-Fiモデルの場合は、ネットを利用するにはWi-Fiに接続するか、スマホのテザリング機能を使う必要があります。自宅や職場などWi-Fi環境下での使用がメインなら不便はないですが、出先でもよく使う方にとっては面倒に感じることもあるでしょう。
GPSを内蔵
iPadのセルラーモデルには、GPS(全地球測位システム)が内蔵されています。
Wi-Fiモデルでも接続中のWi-Fiから大まかな位置情報を取得できますが、地図アプリやナビアプリで使えるほどの精度はありません。
- 地図/ナビアプリを使いたい
- カメラ撮影時のジオタグ、位置情報を利用するゲームやアプリを使いたい
- 紛失時に備えてiPad本体の正確な位置情報を取得したい
GPSを利用するアプリは意外と多いです。そういったアプリをiPadで使うのであれば、Wi-Fiモデルではなくセルラーモデルです。
セルラーモデルとWi-Fiモデルの違い
iPadのセルラーモデルとWi-Fiモデルの違いを以下にまとめました。
| 比較ポイント | セルラーモデル (Wi-Fi + Cellular) | Wi-Fiモデル (Wi-Fi) |
|---|---|---|
| 外でのネット接続 | iPad単体で可能 (回線契約が必要) | Wi-Fi/テザリングが必要 |
| 位置情報の取得 | GPSにより正確な位置情報を取得できる | 接続中のWi-Fiからのざっくりとした位置情報 |
| 価格 | 高い + 通信料(契約した場合のみ) | 安い |
| デザイン | アンテナラインが入る | アンテナラインがなくすっきり |
機能の違い
前述のとおり、セルラーモデルとWi-Fiモデルの機能差は以下の2点です。
- モバイルデータ通信ができるかどうか
- GPSを内蔵するかどうか
性能(処理速度)やディスプレイの画質、iPadアクセサリ対応といったそれ以外の仕様については、セルラーモデルとWi-Fiモデルに違いはありません。
価格の違い
セルラーモデルは機能が追加されている分、Wi-Fiモデルよりも本体価格が高く設定されています。
| モデル | Wi-Fi | Wi-Fi + Cellular | 差額 |
|---|---|---|---|
| iPad (A16) | 58,800円 | 84,800円 | +26,000円 |
| iPad mini (A17 Pro) | 78,800円 | 104,800円 | +26,000円 |
| 11インチiPad Air (M3) | 98,800円 | 124,800円 | +26,000円 |
| 13インチiPad Air (M3) | 128,800円 | 154,800円 | +26,000円 |
| 11インチiPad Pro (M5) | 168,800円 | 204,800円 | +36,000円 |
| 13インチiPad Pro (M5) | 218,800円 | 254,800円 | +36,000円 |
税込価格、最小ストレージの価格
両者の価格差はiPad Proが36,000円、それ以外が26,000円と無視できない金額です。「自分にとってこの価格差に見合う価値があるかどうか」を見極めなければいけません。
なお、セルラーモデルを選んだからといって必ず通信事業者と契約しなければいけないわけではありません。GPSが必要だからとセルラーモデルを購入し、契約なしで使うこともできます。
デザインの違い
iPadのセルラーモデルには、本体に「アンテナライン」が配置されています。

私が使っている13インチiPad Proのセルラーモデルでは、背面の上部と下部に1本ずつあります。Wi-Fiモデルにはこれがありません。
さほど目立つわけではないですし、iPadケースを装着すれば見えません。気にならない方が大半でしょうが、セルラーモデルとWi-Fiモデルの違いとしてアンテナラインの有無も挙げられます。
どっちを選ぶべき?
iPadのセルラーモデルとWi-Fiモデル、どっちを選ぶべきなのでしょうか。
冒頭で書いたように、基本的にはWi-FiモデルでOKでしょう。Wi-Fi環境のある自宅や職場などでしか使わない人が多いでしょうし、GPSを利用するアプリも限られます。
しかし、セルラーモデルにも便利な面があるのは確かです。「セルラーモデルがおすすめな人」と「Wi-Fiモデルがおすすめな人」を整理してご紹介します。
セルラーモデルがおすすめな人
セルラーモデルがおすすめなのは、以下のような人です。
- 外でiPadを使う頻度が多い(通勤、出張、旅行、カフェ、車や電車での移動中など)
- 毎回テザリングするのが面倒に感じる
- 地図/ナビアプリなどの位置情報を利用するアプリをよく使う
- 海外でフリーWi-Fiやテザリングに頼らずネット接続したい
たまに使うくらいならスマホのテザリングで十分ですが、テザリング接続 → 一定時間通信がなかったりスマホがスリープしたりすると切れる → 再接続という繰り返しになりがちで、頻度が高いと非常に手間になります。セルラーモデルならその手間はなく、スマホと同じ感覚ですぐに使い始められます。
また、GPSが必要かどうかも大きなポイントです。ナビ用途ではGPSが必須ですし、カメラ撮影時のジオタグの記録など、GPSあれば便利な場面も多いです。GPSはネット接続がなくても利用できます。GPSのためにセルラーモデルを選び、外でのネット接続はテザリングを活用する、という使い方なら通信料はかかりません。
Wi-Fiモデルがおすすめな人
Wi-Fiモデルがおすすめなのは、以下のような人です。
- 使う場所が自宅や職場などWi-Fiがある環境がメイン
- 外ではたまにしか使わず、スマホのテザリングで対応できる
- 本体価格を抑えたい
- GPSが使えなくても支障がない
おそらくiPadを愛用されている方の半分以上は、自宅や職場など固定場所での使用がメインでしょう。その場合はWi-Fiモデルで十分です。
外でネット接続したい人でも、たまにならテザリングで十分対応できますし、無料で利用できるフリーWi-Fiを活用すれば、多少手間に感じることはあっても困りません。
筆者のセルラーモデル活用例を紹介
私の場合、iPadを購入するときはいつもセルラーモデルを選びます。本体価格が高いのは痛いのですが……やはりスマホ感覚でネット接続できるのは便利です。
たまにネットに接続したいときはテザリングで対応しています。ちょこっとだけ使いたいといった場面ではテザリングで十分です。お出かけや旅行などでしっかり使いたいときは、基本料0円で必要なデータ容量や期間のみ使える「povo 2.0」を利用しています。
- カフェ滞在中の作業(2時間データ使い放題で180円)
- ロングドライブ時の子どもの動画視聴(6時間データ使い放題で250円)
- 旅行に出かける2日間だけ(24時間データ使い放題330円 × 2日)
このようにピンポイントで必要な分だけ課金して使えるのは非常に便利です。povo 2.0では、30GB/30日間(2,780円)や60GB/365日間(13,200円)といったトッピングがたくさん用意されています。期間限定のトッピングもあるので、気になる方は公式ページをチェックしてみてください。

povo 2.0はeSIMに対応するため、オンラインで申し込んでから最短数分(私の場合は10分ほどでした)で使い始められます。「普段は使わないけど、タイミングによってはしっかり使う」という使い方にはぴったりです。
povo 2.0はスマホの副回線としても便利ですが、iPadのセルラーモデルとも相性抜群です。セルラーモデルを購入される方はぜひ活用してみてください。
私の紹介コード「MJJKI2RZ」を申し込み時に入力すると、特典として100GB/3日のデータ容量がもらえます。よろしければお使いください。
よくある質問
- iPadのセルラーモデルに通信料はかかる?
-
セルラーモデル自体に通信料はかかりません。通信事業者が提供するサービスを利用して初めて通信料がかかります。
セルラーモデルを購入したからといって、必ずしも通信事業者と契約しなければならないわけではありません。GPSのためにセルラーモデルを選び、ネット接続はテザリングでカバーするのもありです。
- iPadのセルラーモデルで電話はできる?
-
iPad単体では、携帯回線の音声通話(いわゆる普通の電話)はできません。
ただし、ネット回線を使用した音声通話は可能です。
- iPhoneの通話をiPadに中継する
→ 同じAppleアカウントでログインし、同じWi-Fiネットワークに接続されており、iPhoneが近くにある状態ならiPhoneを経由してiPadで発着信・通話できる。 - FaceTimeやLINE通話など
→ ネット回線を使用した通話はOK。
- iPhoneの通話をiPadに中継する
- Wi-Fiモデルでも地図/ナビアプリは使える?
-
使えますが、Wi-FiモデルにはGPSが内蔵されていないため、正確な位置情報は取得できません。
以下はWi-FiモデルのiPadでナビアプリを使用したときのものです。iPhoneのテザリングを利用しています。
直線道路を一定の速度で走行しています。現在地の精度が低いだけでなく、更新頻度も低いのでカクカクしています。また、デジタルコンパスもうまく動作しておらず、常時ぐるぐると回っている状態でした。
大まかな位置さえわかればいいなら問題ないですが、しっかり使うには厳しい印象です。
- セルラーモデルのGPSはネット接続がなくても使える?
-
GPS(正確にはGNSS)はネット接続がなくても使えます。GPS目的でセルラーモデルを購入し、ネット接続はテザリングで運用する使い方も可能です。
ただし、実際にはネットがないと不便なこともあります。
- 地図表示や検索機能、交通情報の取得などを利用できない(オフライン地図のダウンロードなどで対応する必要がある)
- 「探す」アプリで位置情報を共有・更新するには通信が必要
- iPadのセルラーモデルにSIMカードスロットはある?
-
以下のモデルはeSIMのみ搭載で、物理SIMカードスロットは搭載されていません。物理SIMカードをそのまま使用することはできないため、eSIMへの切り替えが必要です。
- iPad(A16)
- iPad mini(A17 Pro)
- 11インチ/13インチiPad Air(M3/M2)
- 11インチ/13インチiPad Pro(M5/M4)
- eSIMってなに?
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デバイスに内蔵されているデジタル式SIMです。物理SIMカードを挿さなくても、オンラインでの開通が可能です。
オンラインで申し込み → 即日開通できるほか、SIMの切り替えや複数SIMの管理も簡単にできます。
- eSIMは複数入れられる?
-
複数のSIMを入れられます。Appleによると、「8つ以上のeSIMを管理」できるとのことです(上限は明言なし)。
iPadでeSIMを設定する – Apple サポート (日本)eSIMについてご説明し、eSIM対応のiPadモデルや、iPadでeSIMを設定する方法についてご案内します。Apple Supportただし、iPadの場合は同時に有効にできるのはひとつのSIMのため、切り替えながら使うことになります。
- セルラーモデルのSIMフリー版とキャリア版の違いは?
-
2021年9月以降発売のiPadは、SIMフリー版・キャリア版に違いはありません。それ以前に発売されたキャリア版iPadも、SIMロック解除すればSIMフリー版と同じ状態になります。
ただし、キャリアで購入されたiPadは本体代金の未払いなどで「ネットワーク利用制限」のリスクがある点に注意してください。
まとめ
iPadのセルラーモデルとWi-Fiモデルの違いはシンプルです。
- セルラーモデルはモバイルデータ通信が可能(通信事業者と契約すれば)
- セルラーモデルはGPSを内蔵し、正確な位置情報を取得できる
- その代わり、Wi-Fiモデルよりも本体価格が上がる
自宅や職場などWi-Fiがある環境での使用がメインなら、Wi-Fiモデルで十分です。たまに外で使う程度なら、スマホのテザリングで困りません。わざわざ2〜3万円高いセルラーモデルを選ぶ理由としては弱いでしょう。
一方で、外出先でよく使う方やテザリングの手間を減らしたい方、地図/ナビアプリの利用などで正確な位置情報が必要な方にとっては、セルラーモデルを選ぶ理由になります。GPS目的なら、セルラーモデル + テザリング運用という選択肢もありますし、必要なときのみ課金するpovo 2.0などを利用するのもいいでしょう。
ぜひ本記事を参考に、あなたにぴったりなiPadを選んでいただければ幸いです。iPadの購入を検討されている方には、以下の記事もおすすめです。ぜひチェックしてみてください。
