iPadはパソコンの代わりにならない4つの理由!パソコンとの違いとiPadの強み

iPadはパソコンの代わりにならない4つの理由!パソコンとの違いとiPadの強み(アイキャッチ)

もし親しい友人から「パソコンの代わりにiPadを買おうと思っているんだけど、どうかな?」と相談されたら、私は迷わず「その二択で迷っているなら、絶対にパソコンを買ったほうがいい」と即答します。

なぜなら、iPadとパソコンはまったくの別物だからです。確かに一部の用途においてはiPadをパソコン代わりに使えますが、完全な代替にはなりません。

私自身、iPadとパソコンを日常的に使っており、それぞれの長所と短所を理解しているつもりです。なぜiPadはパソコンの代わりにならないのか、iPadの強みはどこにあるのかについてご紹介します。

iPadがパソコンの代わりにならない4つの理由

1. iPadは「大きなiPhone」

「iPadって、結局のところ大きなiPhoneなんでしょ?」と言われると反論したくなりますが、ざっくり捉えるとあながち間違いではありません。

iPadとiPhone
iPad = 大きなiPhone?

複数のアプリを同時に表示でき、アプリ間をすばやく移動できるステージマネージャといったiPadならではの機能もあります。iPadOS 26ではウインドウ表示にも対応しました。

しかし、そういった「ならではの機能」はごく一部で、基本的な機能や操作性はiPhoneと同じです。iOS版とiPadOS版が用意されているアプリでも、UIがそれぞれに最適化されているだけで機能自体には違いがないことがほとんどです。

「iPhoneをパソコン代わりに使えるか?」というと、厳しいですよね。ある部分ではパソコン代わりに使えても、やはりiPadでは越えられない壁があります。

2. iPadはマルチタスクに向かない

iPadOSには、「フルスクリーンアプリ」「ウインドウ表示アプリ」「ステージマネージャ」の3つの表示モードが用意されています。

iPadの3つの表示モード

iPadOS 26で追加された「ウインドウ表示アプリ」では、画面上に複数のアプリやウインドウを自由に配置でき、ウインドウサイズも変更できます。さまざまな機能にアクセスできる「メニューバー」も使用でき、使用感はパソコンに大きく近づきました。

iPadのマルチタスク機能で「パソコンのように」操作することは可能ですが、パソコンと同等にこなせるレベルにはありません。画面が小さく作業領域が狭いうえ、操作方法に癖があることから、私の感覚では、iPadでのマルチタスク作業は正直に言ってシンドイです。

自由度としては、やはりパソコンが圧倒的です。自由自在にウインドウを配置・リサイズできるのはもちろん、仮想デスクトップで瞬時に作業環境を切り替えられます。必要なら外部ディスプレイを接続して作業領域を広げることも可能です。

外部ディスプレイを接続したiPad

iPad AirとiPad Proは外部ディスプレイの接続に対応しますが、「そこに外部ディスプレイがあるなら、iPadではなくパソコンをつなげたい」と思ってしまいますね。

「パソコン風の作業環境」を作れても、iPadでないといけない理由がありません。それに外部ディスプレイを接続したとしても自由度はパソコンのほうが上です。実際のところ、日常的にiPadに外部ディスプレイを接続してガッツリ作業しているよ、という方はほぼいないのではと思います。

3. 一部アプリでは高度な機能が使えない

AdobeのPhotoshopやLightroom、Illustratorは、パソコン版に加えてiPad版アプリが用意されています。しかし一部の高度な機能はパソコン版のみ対応で、iPad版は非対応です。

「この機能はiPadだと使えないんだ」ということがよくあります。パソコン版とiPad版とでは操作性も大きく異なるため、私は結局パソコンで使うことが多いです。

MicrosoftのOfficeアプリも同じですね。iPad版では使えない機能があります。簡単な作業ならいいのですが、込み入った作業となるとやはりパソコンが必要になってきます。

4. 拡張性が低い

現行のiPadにはUSB-Cポートが搭載されています。

iPadのUSB-Cポート

LightningからUSB-Cに変更されたことで選べる周辺機器が増え、拡張性は格段に向上しました。Bluetoothでマウスやキーボードも接続できます。

それでも、パソコンの拡張性の高さと比べてしまうと勝負になりません。

拡張性は選ぶパソコンにもよりますが、デスクトップPCなら周辺機器の接続はもちろんのこと、内蔵ストレージを高速なものに交換できたり、メモリを増設できたりするものもあります。一般的に拡張性が低いとされるMacBookも、広い帯域を持つ高性能なUSB規格に対応するため、ドッキングステーションなどでカバーできます。

iPadにはUSB-Cポートが1つしかありません。USB-Cハブなどを活用すればやりくりすることも可能ですが、一時的ならまだしも、日常的に複数の周辺機器を接続したいとなると不便でしょう。

パソコンにはないiPadの強みは?

ここまで「iPadはパソコンの代わりにはならない理由」について書いてきましたが、では「iPadを使う理由」はどこにあるのでしょうか。

パソコンにはパソコンの良さがありますし、iPadにはiPadの良さがあります。

1. 環境を選ばず使える

iPadの最大の強みは、なんといっても「環境を選ばず使える」ことでしょう。

取り出して使用するまでのハードルが低く、自宅のソファやベッド、移動中、カフェ、屋外など、iPadなら環境を問わずさっと取り出して使い始められます。

ノートPCも場所によっては気軽に取り出せますが、iPadほどではありません。私の感覚的では、タブレットとノートPCとの間には取り出しやすさに大きい差があります。

2. コンテンツ消費には最高のデバイス

ソファでくつろぎながらネット・SNSを閲覧したり、動画を視聴したり、電子書籍を読んだり。いわゆるコンテンツ消費には、iPadは最高のデバイスです。

11〜13インチの大画面と片手で持てる身軽さのバランスが絶妙なんですよね。これはパソコンにはない、iPadだからこその強みと言っていいでしょう。

3. Apple Pencilが使える

Apple Pencilとは、ペン先の筆圧や傾きを検知して正確で精細な描写を実現するiPad専用のスタイラスペンです。描写の遅延も驚くほど少なく、まるで紙に書いているかのような感覚でノートをとったり絵を描いたりできます。

iPadとApple Pencil

私の場合は、特に画像のレタッチ作業でApple Pencilが大活躍してくれています。調整スライダーを操作したりマスクをかけたりといった細かい作業は、指でタッチするよりも格段にやりやすいですね。

iPadユーザーのなかには、「Apple Pencilを使いたいからiPadを購入した」という人もいるほどです。Apple Pencilの存在は、パソコンではなくiPadを選ぶ1つの理由になります。

パソコンでもペンタブや液タブを用意すれば、絵を描いたり画像編集に活用したりできます。しかし、特に液タブはものによってはiPadよりも高価ですし、パソコンにもある程度の性能が要求されます。それにiPadのように気軽に持ち運ぶことはできません。

4. シングルタスクに集中できる

日常的にiPadを使っていて、私は「シングルタスクに集中できる」というメリットを感じています。

iPadがパソコン代わりにならない理由として「マルチタスクに向かない」と書きましたが、ひとつのことに集中したいときに、あえてパソコンではなくiPadで作業することがあります。

iPadでブログ記事を書いている様子

基本的にはマルチタスクが得意なパソコンのほうが効率的に作業できます。しかし、同時にあれこれできるせいで気が散ってしまい、集中できないこともあるんですよね。用途が限定されているのであれば、目の前のことだけに集中できるiPadを選ぶのもありでしょう。

結論:iPadは「完全な」パソコン代わりにはならない

「iPadはパソコン代わりにはならない」というのが私の結論です。もっと正確に言えば、『iPadは「完全な」パソコンの代わりにはならない』ですね。ある部分でパソコン代わりになることは確かですが、完全な代替にはなりません。

やはり「OSの壁」が大きいです。ウインドウ操作ひとつとってみてもiPadOSとmacOS/Windowsとでは自由度の高さがまるで違います。キーボードなど周辺機器を揃えて「パソコンスタイル」で作業できても、いずれは間違いなくOSの壁に直面します。

iPadとパソコンで迷っている方は、ぜひ「MacBook Air」をチェックしてみてください。

現行の13インチMacBook Air(M4)は、11インチiPad Pro(M5)より安いですし、キーボード込みで考えると携帯性に差はありません。macOSを搭載するMacBook Airなら、Mac上でiPhone/iPadアプリも使えます。

予算が限られている場合は、中古のMacBook Air(M2)がおすすめ。人気の中古ショップ「イオシス」を見ると、記事執筆時点で10万円前後で販売されています。実際にMacBook Air(M2)が手元にありますが、PhotoshopやLightroomを普通に使えるレベルの性能があります。

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