折りたたみスマホ「iPhone Duo」の発売を前に、TechRadarが画面の折り目やヒンジについてApple幹部に聞いたインタビューを掲載しました。
その中で、Appleでハードウェアエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるTom Marieb氏は、使い込むと数か月で画面の折り目が目立ってくるという懸念に対し、「その点について、どうか私たちに説明責任を負わせてほしい」と応じました。折りたたみスマートフォン特有の経年劣化の不安に対し、正面から引き受ける姿勢を示したかたちです。
折り目の経年変化に「説明責任を負う」
Marieb氏は、画面にマット(Nano-texture)仕上げを採用した理由について、光沢ディスプレイだと表面の凹凸が目立ちやすいのに対し、マット仕上げは時間の経過による凹凸の変化を目立たせにくいためだと説明しました。折り目そのものを物理的になくすのではなく、光の反射を抑えて視覚的に目立たせないアプローチです。

内部の保護構造でも、折り曲げに伴う負担を抑える設計が施されています。Appleによると、目に見えない透明な接着剤によってディスプレイの層がなめらかに滑り、圧力やよれの発生を最小限に抑えられるとしています。あわせて、独自の接着剤が上下の高強度ガラス層を本のページのように相互にスライドさせ、折り曲げたときの摩擦を和らげると説明されています。
Marieb氏が強調したのが、ヒンジを開閉する際の手応え(トルク特性)の作り込みです。閉じたときに高級車のドアのような手応えになるよう機械的特性を整え、薄型設計であっても「よく作り込まれていて、心配せずに使える」と感じられることを目指したと述べました。
また、画面を半分折った状態で使う場面が多いことから、開閉の両端だけでなく中間角度でもトルクの特性を整え、引っ張って開ける感覚やぐらつきが出ないようにしたと説明しています。日本向けの発表でも、100以上の部品で構成されたヒンジが開閉を正確にコントロールし、開いた画面の中央を支える構造であることが示されています。
構造と強度を語るSamsung・Googleとの違い
画面の折り目やヒンジに対する各社の公式説明には、それぞれ力点の違いがみられます。
Samsungは「Galaxy Z Fold8」において、ヒンジ「Armor FlexHinge」の設計により、歴代のFoldシリーズの中で折り目部分が最もフラットになったと説明しています。チタンプレート「Flex Titanium」などの採用により、支持構造の強度を高めながらモジュールの厚さを約10パーセント削減し、薄型化と平坦化を物理的な構造改革によって実現したことをアピールしています。
一方のGoogleは、「Google Pixel 11 Pro Fold」の強度について、生産開始前のデバイスによる内部データではPixel 10 Pro Fold比で3倍とし、使用状況によって結果が変わる場合があると説明しています。同社の日本語公式ブログによると、新開発のギアレスヒンジによって折り曲げ半径を大きくし、インナーディスプレイのガラス層を厚くしたことで、画面を保護しながら折り目を目立ちにくくしたとしています。
操作感や使い方の想定にも方針の違いがみられます。Appleが半開きでの安定性を重視して中間トルクを調整したのに対し、SamsungはGalaxy Z Fold8において、ヒンジを途中の角度で固定せず、完全に開いた状態と閉じた状態での使用に特化した設計を採用しました。そのため、途中の角度で固定して使う「フレックスモード」には非対応となっています。
SamsungやGoogleが公式説明で構造による平坦化や強度向上を強調するなか、AppleのMarieb氏はインタビューで、折り目の経年変化に対する説明責任を引き受け、光を拡散するマット仕上げや上質な開閉の手応えといった日常体験の質に力点を置いて折りたたみへの不安に応えようとしています。
なお、iPhone Duoは実験室の管理された条件下でのテストにより、IEC規格60529にもとづくIP68等級に適合しており(最大水深6メートルで最大30分間)、Galaxy Z Fold8のIP48規格を上回る水準となっています。日本での予約注文は2026年10月16日午後9時から受け付け、10月23日に発売される予定で、価格は364,800円(税込)からとなっています。