Apple Watchのセルラーモデル(GPS + Cellularモデル)とは、通信キャリアが提供する専用サービスを契約することで、Apple Watch単体で電話通話やモバイル通信が可能なモデルのことです。
セルラーモデルなら、iPhoneが近くにない状態でも家族に電話をかけたり、LINEメッセージを送信したり、音楽をストリーミング再生したりできます。
本記事では、Apple Watchの購入を検討されている方に向けて「セルラーモデルとは」や「GPSモデルとの違い」、「どっちを選ぶべきか」について詳しく解説します。お悩みの方は、ぜひ購入前の参考にしてみてください!
セルラーモデルとは?GPSモデルとの違い
Apple Watchのセルラーモデルとは、通信キャリアが提供する専用プランを契約することで、Apple Watch単体で電話やモバイル通信が可能なモデルのこと。
GPSモデルとの決定的な違いは、「単体での電話やモバイル通信が可能かどうか」にあります。
1. 単体での電話・モバイル通信
通常、Apple WatchはiPhoneと接続(ペアリング)した状態で使用します。接続されたiPhoneを通じて、電話やモバイル通信を行う仕組みです。iPhoneが近くにないときや電源が切れているときは、iPhoneを通じた通信はできません。

セルラーモデルなら、iPhoneが近くになくても単体で電話・モバイル通信が可能です。ジョギングに出かけるとき、iPhoneを持ち出す必要はありません。音楽のストリーミング再生もナビアプリの使用も、すべてApple Watch単体で完結します。
iPhoneが近くにある状態では、セルラーモデルとGPSモデルにできることの違いはありません。「iPhoneから離れることはない」ということであれば、GPSモデルでOKでしょう。
2. 価格の違い
セルラーモデルとGPSモデルとでは、価格が異なります。
| モデル | 素材 | サイズ | GPSモデル | GPS+Cellularモデル |
|---|---|---|---|---|
| Series 11 | アルミニウム | 42mm | 64,800円 | 80,800円 |
| 46mm | 69,800円 | 85,800円 | ||
| チタニウム | 42mm | ─ | 114,800円 | |
| 46mm | ─ | 122,800円 | ||
| Ultra 3 | チタニウム | 49mm | ─ | 129,800円 |
| SE 3 | アルミニウム | 40mm | 37,800円 | 45,800円 |
| 44mm | 42,800円 | 50,800円 |
Series 11で16,000円、SE 3では8,000円の価格差があります。Ultra 3はセルラーモデルのみで、GPSモデルはありません。
「価格差に見合うメリットを感じられるか」がポイントになります。あとから変更できない部分なので、将来的に用途が広がったときのことも考慮して検討してみてください。
3. ケース素材の違い
Apple Watchには、「アルミニウム」と「チタニウム」の2種類のケース素材が用意されています。

セルラーモデルかGPSモデルかを選択できるのは、Series 11とSE 3のアルミニウムのみ。
| モデル | ケースの素材 | 選択肢(GPS/セルラー) |
|---|---|---|
| Series 11 | アルミニウム | GPS セルラー |
| チタニウム | セルラーのみ | |
| Ultra 3 | チタニウム | セルラーのみ |
| SE 3 | アルミニウム | GPS セルラー |
チタニウムケースは必然的にセルラーモデルとなります。
セルラーモデルの月額料金は?
Apple Watch単体で電話・モバイル通信するには、
- セルラーモデルであること
- 通信キャリアが提供する「Apple Watch向けの専用サービス」を契約すること
この2点が必要です。
セルラーモデルを購入しても、専用サービスを契約するかどうかは自由です。契約しなければ月額料金は発生しません。
ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが対応
2025年現在、Apple Watch向けの専用サービスを提供するキャリアは、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4社です。
| キャリア | サービス名 | 月額(税込) |
|---|---|---|
| ドコモ ahamo | ワンナンバーサービス | 550円 |
| au | ナンバーシェア | 385円 |
| ソフトバンク | Apple Watchモバイル通信サービス | 385円 |
| 楽天モバイル | 電話番号シェアサービス | 550円 |
ドコモのみ、サブブランドのahamoでも利用できます。auのpovoやソフトバンクのY!mobile、LINEMOは対応していません。
注意したいのは、iPhone(親回線)と同じキャリアを選ぶ必要があること。iPhoneをドコモで使っているなら、契約できるのはドコモの「ワンナンバーサービス」のみです。他社サービスは利用できません。

Apple Watchのセルラーモデルは「eSIM(イーシム)」を内蔵するため、申込みから開通まではオンラインで完結します。詳しい流れは「Apple Watchのセルラーモデルの契約方法」でご紹介していますので、こちらを参考にしてください。
通話料・通信料はどうなる?
Apple Watch単体での通話料・通信料は、親回線の利用分として計算・課金されます。
iPhoneで通話・通信定額プランを契約している場合、セルラーモデル単体での電話・モバイル通信も定額です。月に20GBまでの通信プランを契約しているなら、その20GBから消費されることになります。
格安SIMだと使えない?
残念ながら、格安SIM事業者のMNVO回線では、Apple Watch向けの専用サービスは提供されていません。セルラーモデルを購入しても単体での電話・モバイル通信はできず、実質的にGPSモデルと同じ使い方に限定されます。
Apple Watchに初めてセルラーモデルが登場したのは、2017年とずいぶん前です。今に至るまで対応してくれないことを考えると、将来的に対応してくれる可能性は低いでしょう。
ファミリー共有設定について
Apple Watchのセルラーモデルは、iPhoneを持っていない家族のための「ファミリー共有設定」に対応します。これは「見守りデバイス的な使い方」が想定された機能です。
日本国内ではauと楽天モバイルがファミリー共有設定向けにサービスを提供しています。
| ウォッチナンバー (au) | Apple Watchファミリー共有設定 (楽天モバイル) | |
|---|---|---|
| 月額料金 | 385円 | 1,078円 |
| データ通信容量 | 250MB/月 | 250MB/月 |
| 国内通話料 | 22円/30秒 | 22円/30秒 |
| 国内SNS送信料 | 3.3円/通 | 3.3円/通 |
これらのサービスは、iPhoneをauや楽天モバイルで使っていなくても単独での申込み・利用が可能です。
ファミリー共有設定を使えば格安SIMとの組み合わせでもApple Watch単体で電話・モバイル通信できますが、一部機能に制限がかかるなどのデメリットがあるためおすすめしません。
ファミリー共有設定のデメリット
- 異なる電話番号が付与されるため、iPhoneと連携できない。通知も連動しない。
- 一部の機能やアプリが使用できない。
服薬、呼吸数、不規則な心拍の通知、心電図、心房細動履歴、周期記録、睡眠、手首皮膚温、血中酸素ウェルネス、歩行安定性、オーディオブック、News、ショートカット、ダブルタップジェスチャ、国際ローミング - 月額料金のほかに通話料・SMS送信料がかかる(iPhoneのプランとは共有できない)。
- データ容量は250MB込みだが、それを超えると通信速度が128kbpsに制限される
機能は大幅に制限されてしまいますが、「Apple Watch単体で電話できればそれでいい」という方なら選択肢になります。
どっちがいい?こんな人におすすめ!
GPSモデルがおすすめな人
もしあなたが以下に当てはまるなら、GPSモデルがおすすめです。
iPhoneが近くにある状態なら、GPSモデルもセルラーモデルもできることは同じ。モデルやケース素材によってセルラーモデルしか選べない場合は別として、「iPhoneから離れることはない」という人が、わざわざ価格の高いセルラーモデルを選ぶ理由はありません。
単体で通信できないGPSモデルでも、ランニング時には走ったコースや距離は記録されますし、Apple Payでの買い物も可能です。セルラーモデルを選んで便利になることはあっても、GPSモデルを選んだことで困ることはありません。
セルラーモデルがおすすめな人
一方でセルラーモデルは、以下に当てはまる人におすすめです。
例えば日々のランニング。GPSモデルでも走行記録はとれますが、セルラーモデルなら出先でもお気に入りのプレイリストをストリーミング再生したり、急な仕事の電話に応答したり、家族からのメッセージに返信したりできます。
私の場合、「iPhoneから離れられる」というメリットを特に感じています。セルラーモデルなら大事な連絡を見逃すことはないですし、LINEメッセージも送受信できます。セルラーモデルを使い始めてから、iPhoneを自宅に置いて出かけることが多くなりました。
こういったことにメリットを感じる方は、セルラーモデルがおすすめです。契約は必須ではないですし、いつでも申込み・解約できます。「もしかすると将来的に欲しくなるかも?」という方も前向きに検討してみてください。
緊急時の安全という視点
私自身はセルラーモデルを選び続けていますが、それは「もしも」の緊急時に備えるためでもあります。Apple Watch Series 4以降には、緊急SOSや転倒検出、衝突事故検出といった安全機能が搭載されていますが、GPSモデルではiPhoneが近くにないと緊急通報が機能しません。
セルラーモデルなら、自動車事故や転倒でiPhoneが飛ばされてしまった状況でも、Apple Watch単体で緊急通報が可能です。着用者が反応できないときでも、自動で緊急通報され助けを呼んでくれます。
登山やマリンスポーツなどでは、事故によりiPhoneの損傷や紛失の可能性もあります。そんな「もしも」のとき、セルラーモデルが自分の命を救ってくれるかもしれません。ぜひ緊急時の安全という視点からセルラーモデルを検討してみてください。
よくある質問
- セルラーモデルとGPSモデルの違いは?
-
以下の違いがあります。
- 単体での電話通信・モバイル通信が可能かどうか
- 価格の違い
- ケース素材の違い
iPhoneが近くにある状態では、セルラーモデルもGPSモデルも機能面での違いはありません。
- セルラーモデル自体に月額料金はかかる?
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かかりません。通信キャリアが提供する専用サービスを契約して初めて月額料金が発生します。詳しくは以下の記事で解説しています。
- Apple Watch向け専用サービスに縛り期間はある?
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縛り期間は設けられていません。いつ解約しても違約金が発生することはなく、気軽に試すことができます。
申込みから開通、解約までオンラインで完結します。月額料金は数百円ですので、一度お試しで使ってみるのもありです。
- セルラーモデルはバッテリー持ちが悪い?
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単体での電話・モバイル通信時はバッテリー消費が増加し、バッテリー持ちが悪くなります。
Apple Watch Series 11の公称のバッテリー駆動時間(最大24時間)は、合計4時間のモバイル通信を含む数値です。セルラーモデルだからといってバッテリー持ちが悪くなることはありません。
- セルラーモデルでLINEは使える?
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セルラーモデルなら、Apple Watch単体でLINEメッセージの送受信が可能です。キーボードや音声入力でテキストメッセージを送信したり、スタンプやボイスメモを送信したりもできます。