英国、子どもの端末に安全機能を義務づける法整備へ。iPhoneはどう変わる?

英国、子どもの端末に安全機能を義務づける法整備へ。iPhoneはどう変わる?

英国政府が9月8日、子どもがスマートフォンやタブレットで裸が写った写真や動画を撮影・共有・閲覧することを防ぐため、端末側の保護を大手テック企業に義務づける法整備を進めると発表しました。

英国政府はAppleとGoogleの自主的な対応を促してきたものの、両社の提案では十分ではないと判断。アプリごとの対策に加えて、端末の機能そのものに保護を組み込むよう求めています。

Appleは、The Guardianが掲載した声明で、子ども向け安全機能の強化計画を英国政府に示したと説明していますが、具体的に何が変わるのか、いつ利用できるのかは明らかになっていません。

カメラや検索も対象に。すでに使っている端末にも保護を求める案

英国政府は今年6月、AppleやGoogleなどに対して、3か月以内に対応しなければ法整備を進めると表明していました。9月8日の声明では、端末側の保護を強化するロードマップを、この3か月の間に示すよう求めていたと説明しています。

政府によれば、AppleとGoogleは子どもがこうした画像を共有しにくくするOSレベルの機能を開発したといいます。画像をぼかすだけでなく、ブロックする方向への進展もあったとしています。

それでも政府は、両社の提案は被害の規模に見合わず、必要な速さで改善が続くとは確信できないとして、法律による義務づけに進む方針を決めました。両社が示した変更の詳細や、一般の端末への実装状況は公表されていません。

政府が6月に示した案は、カメラ、メッセージアプリ、検索、ファイル共有といった端末の中核機能でこうしたコンテンツを検出し、ブロックするというものです。

対象には新しく販売するスマートフォンやタブレットだけでなく、すでに使われている端末も含まれます。政府は保護を初期状態で有効にする一方、成人については年齢確認を済ませればこうしたコンテンツを撮影・共有・閲覧できる仕組みを想定しています。

ただし、これらは6月時点の政策案です。最終的な技術要件や年齢確認の方法、どの端末を対象にするかといった細部は、まだ明らかになっていません。

英国政府は法案を可能な限り早く議会へ提出するとしていますが、具体的な提出日や施行日は示していません。また、立法作業中に対象企業が技術的な解決策を開発・実装した場合は、法律が必要かどうかを再評価するとしています。

端末側の対策と並行して、子どもが使うアプリにも、こうしたコンテンツにアクセスしたり共有したりするのを防ぐ措置を求める方針です。実施に必要な法制も検討しています。

iPhoneにはすでにセンシティブな写真やビデオをぼかす機能がある

Appleは、iOS 15.2で「コミュニケーションの安全性」を導入しています。裸が写っている可能性があると判定された写真や動画を、子どもが送受信しようとすると警告し、表示前にぼかす機能です。

お子様のApple製デバイスのコミュニケーションの安全性について(Apple公式サイト)
「コミュニケーションの安全性」機能

当初はメッセージアプリの写真が対象でしたが、現在のiPhoneとiPadでは、メッセージ、AirDrop、連絡先ポスター、FaceTime、共有アルバムに対応しています。一部の他社製アプリでも、共有する写真や動画を選ぶ場面で検査します。

13歳未満の子どもには、スクリーンタイムのパスコードが設定されている場合に追加の保護もあります。検出された写真や動画を閲覧するには、保護者の許可が必要です。この保護は、iPhoneではiOS 18以降で利用でき、対象年齢は国や地域によって異なります。

一方、英国政府は6月の発表で、Appleの検出機能はカメラや検索、さまざまなアプリや他社のメッセージサービスには及んでいないと指摘しました。他社製アプリへの対応も、共有用に選んだ写真や動画が対象で、そのアプリ全体を保護するわけではありません。

英国政府が求めているのは、こうした個別の送受信や共有の場面から、撮影も含めた端末のより広い範囲へ保護を広げることです。

Appleが英国当局に示したと説明しているのは、コミュニケーションの安全性やその他の子ども向け安全機能をさらに強化する将来計画です。

端末内での検出とプライバシーをどう両立するか

こうした画像の撮影や共有まで防ごうとする背景には、子どもが脅されたり、だまされたりして画像を作らされる被害があります。

Internet Watch Foundation(IWF)が2025年に確認した児童性的虐待画像・動画は512,980点。このうち約27%にあたる140,276点が、撮影時に子どもが一人で、加害者がその場にいない画像・動画を指す「self-generated」に分類されています。

この分類には、離れた場所にいる加害者が子どもを誘い、だまし、脅して作成・共有させたものも含まれます。IWF自身も、子どもに責任があるかのように受け取られかねない、不十分な用語だと説明しています。

その一方で、端末が画像を調べる仕組みには、プライバシーへの懸念もあります。

現在のコミュニケーションの安全性による判定は、端末内の機械学習で行われます。Appleは検出結果や写真・動画にアクセスしません。ただし、子どもがiMessageやFaceTimeから送信者を通報した場合は、対象コンテンツがAppleへ送られます。

英国政府も6月の案では、データ収集やプライバシー侵害を伴わずに保護を実装するよう求めています。しかし、メッセージサービスのSignalは、年齢確認と端末内のコンテンツ検査が監視の基盤になると批判しています。

子どもを守るために、端末のどの機能に保護を組み込み、何を検出するのか。英国政府が示したプライバシーの条件を、具体的にどう実現するのか。iPhoneへの影響を判断できるのは、今後の法案とAppleの安全機能の強化内容が明らかになってからです。

Source:GOV.UKGOV.UKThe GuardianSignal

目次