初代AirPodsの発表から10年が経ちました。
AppleがAirPodsを発表したのは2016年9月7日。2026年9月7日に迎えたのは、発売からではなく発表からの10周年です。実際にオンラインで注文できるようになったのは、2016年12月13日でした。
発表当時は見た目や紛失を心配する声もありましたが、AirPodsはその後、周囲の雑音を抑えるPro、耳全体を覆うMaxへと展開。音楽を聴くためのイヤホンから、聞こえの支援や心拍数の計測も担う製品群へと広がっています。
コードがないと、なくしてしまう?
発表当日のThe Guardianは、AirPodsの外観を従来のEarPodsからコードを取り除いたようだと評し、コードがないことで紛失しやすくなるのではないかと懸念していました。
AirPodsは3.5mmヘッドフォン端子を備えないiPhone 7と同時に発表された製品です。使い慣れた有線イヤホンをつなぐ端子の廃止と、左右を結ぶコードのないイヤホンの登場。この2つが話題になりました。
ただ、当初から否定的な評価ばかりだったわけではありません。WIREDは発表当日の記事の見出しで、外観は奇妙だが動作は優れていると評価していました。
見た目には戸惑いがあっても、使ってみると良さが分かる。発表当日の記事にも、そんな評価が見られます。
ケースを開いて、1回タップするだけ
初代AirPodsの特徴は、コードがないことに加えて、使い始めるときの手軽さにありました。
充電ケースをiPhoneの近くで開いて1回タップするだけで、同じiCloudアカウントで使うiPadやMacでもAirPodsを使えるように。この仕組みによって、Apple製品ごとに設定を繰り返す手間が減ったのです。当時はiOS 10、watchOS 3、macOS Sierraを搭載した対応デバイスが必要でした。
さらに、耳への装着を検知して音楽を自動で再生・一時停止する機能も搭載。接続するときだけでなく、聴き始めるときや外すときの操作も省けるようになっていました。
一方で、発売は予定どおりには進みませんでした。Appleが当初予定していた発売時期は2016年10月下旬。オンライン注文の受付は12月13日となり、その際、配送と店頭入荷は翌週から始まる予定だと案内されました。
9月に発表からの10周年を迎え、12月には発売からの10周年を迎えることになります。
市場が広がる一方、Appleのシェアは低下
その後のAirPodsの広がりは、市場調査からもうかがえます。
Counterpoint Researchによると、2018年第4四半期の世界の完全ワイヤレスイヤホン市場で、Appleの台数シェアは60%でした。発売から約2年の時点で、この市場の大きな割合を占めていたことになります。
2021年には、世界の完全ワイヤレスイヤホン市場全体の出荷台数が前年比24%増の約3億台へと拡大。Appleの販売台数も前年比5%増えましたが、台数シェアは25.6%に下がっています。
2018年の数字は四半期、2021年は年間の集計なので、同じ期間の数字ではありません。それでも2021年には、Appleの販売台数が増える一方で、市場全体がより速く成長していました。AirPodsの普及とともに、完全ワイヤレスイヤホンの市場も大きくなってきたのです。
音楽を聴く以外の役割も
AirPodsは、使い方の選択肢も増やしてきました。
2019年3月に発表された第2世代では、ハンズフリーの「Hey Siri」に対応。初代ではダブルタップで呼び出していたSiriを、声だけで使えるようになりました。
同年10月にはAirPods Proが登場し、周囲の雑音を抑えるアクティブノイズキャンセリングを搭載。2020年12月には、耳全体を覆うヘッドフォン型のAirPods Maxも登場しました。
2024年9月に発表されたAirPods 4では、通常モデルとノイズキャンセリング搭載モデルの2種類を用意。雑音を抑える機能はPro以外にも広がっています。
また、同じ発表ではAirPods Pro 2向けに、聞こえに関わる3つの機能も追加されました。周囲の大きな音を低減する「聴覚保護」、自宅で約5分かけて左右の耳の聴力を確認する「ヒアリングチェック」、軽度から中等度の難聴を自覚する人に向けて周囲の音を増幅する「ヒアリング補助」です。
さらに、2025年9月には心拍数センサーを搭載するAirPods Pro 3を発表。耳に着ける製品として、音楽以外の役割も増えてきました。
初代が示したのは、1回のタップで設定でき、耳への装着に合わせて音楽が再生される手軽さでした。そこから10年。音楽をどう聴くかだけでなく、耳に着けて何ができるかという点でも、AirPodsは変わってきたといえるでしょう。
Source:Apple、The Guardian、WIRED、Counterpoint Research、Counterpoint Research