Appleが「Apple Watch Series 12」と「Apple Watch Ultra 4」を発表しました。
両モデルに共通するのは、新しいヘルスセンシングシステムとS11チップ。両モデルとも心拍数などの測定頻度が高まり、体の状態をスコアで示す「準備度」に対応します。周囲の音を知らせたり、聞き逃した会話を文字で振り返ったりできる「オーディオインテリジェンス」も搭載します。
日本での価格はSeries 12が71,800円から、Ultra 4が142,800円から。いずれも税込価格で、すでに予約受付が始まっており、9月18日(金)に発売されます。
心拍数を5秒ごとに測定。体の状態を「準備度」で確認
Series 12とUltra 4は、心拍数をバックグラウンドで5秒ごとに測定します。終日の測定頻度は前世代の60倍。心臓や血管をはじめ、健康状態の傾向を幅広く見る指標「HRV」の測定も最短5分ごとになり、前世代の24倍の頻度でデータを得られます。

この測定を支えるのが、新しいヘルスセンシングシステムです。光を取り込むフォトダイオードをリング状に配置し、電力効率に優れた大型のグリーンLEDを採用。動いている間も心拍数を測定します。心電図用の電極も、小さな面積を維持しながら、皮膚に触れる表面を広げています。
高い頻度で得られる心拍数データは、心拍数アプリや文字盤に表示されるほか、「エクササイズ」と「ムーブ」のリングの精度向上にも使われます。HRVが加わるのは、バイタルアプリの夜間表示と新しい日中表示です。ストレスや回復の変化を見る「回復時HRV」では、夜間の値を自分の基準値と比べられます。
さらに、最近のアクティビティやトレーニング負荷、バイタル、睡眠スコアをまとめて分析するのが「準備度」です。
準備度は0〜10のスコアと、「休養」「無理せずに」「準備完了」「絶好調」の4段階で体の状態を示します。スコアは日中も更新され、変化した要因とともにApple WatchとiPhoneのフィットネスアプリで確認できます。
聞き逃した15秒を文字にする「ライブ早戻し」
もうひとつの大きな変化が、周囲の音や会話を扱うオーディオインテリジェンスです。Series 12とUltra 4に搭載されたS11チップの、電力効率に優れた常時稼働プロセッサを使います。
サウンド認識は、サイレンやアラーム、ドアベル、赤ちゃんの泣き声などを検出して通知する機能。Apple Watch上のAIで処理するため、iPhoneが手元になくても動作します。

会話を聞き逃したときに使うのが「ライブ早戻し」です。Digital Crownを2回押すと、15秒前までの発言を文字起こしして確認できます。
「Siri Recap」は、周囲の会話からタイトル、概要、要点を生成する機能です。常時オンにするほか、使う時間帯を設定したり、コントロールセンターでオンとオフを切り替えたりできます。
ただし、ライブ早戻しとSiri Recapは発売時から日本語で使える機能ではありません。2026年後半に英語からベータ版として提供されます。利用にはApple Intelligenceに対応するiPhone 16以降が必要です。iPhone 16eは対象に含まれません。
音声は保存せず処理。早戻しの起動は周囲にも通知
会話を扱う機能だけに、音声がどこに残るのかも気になるところです。
オーディオインテリジェンスは音声を録音・保存せず、話している人の特定も行いません。S11内の保護された領域「Secure Exclave」で音声を一時的に処理し、生の音声はすぐに削除されます。Appleもその音声にアクセスできません。
Siri Recapでは、検出した音声を暗号化してペアリング済みiPhoneのSecure Exclaveへ送ります。iPhoneで会話を文字に起こして短くまとめ、そのテキストを暗号化してAppleのPrivate Cloud Computeへ送ります。これは、端末内の処理能力を超えるApple Intelligenceの要求に、クラウド上のAIモデル「Apple Foundation Models」で応える仕組み。Siri Recapでは会話テキストの要約と整形を担います。
ライブ早戻しを起動すると、チャイムと全画面表示で周囲にも知らせます。消音モード中やヘッドフォンの接続中でもチャイムは鳴ります。文字起こしは、保存するかSiriに質問した場合を除き、画面が消えてから約30秒後に消去。Siri Recapの要約も、保存しなければ7日後に自動で削除されます。
なお、文字起こしや要約には抜けや誤りが生じる場合があり、Appleは重要な情報を当事者などに確認するよう案内しています。
Series 12はセラミックケースも用意。アルミニウムモデルの画面は強化
Apple Watch Series 12は42mmと46mmの2サイズ。ケース素材はアルミニウム、チタニウム、セラミックから選べます。
アルミニウムはダークブロンズ、ライトゴールド、ブラック、スペースグレイの4色。チタニウムはラディアントゴールドとナチュラル、セラミックはパールホワイトとナイトブルーの2色ずつです。

なお、セラミックケースは商品名のサイズと実寸が異なり、42mmモデルの高さは43mm、46mmモデルは47mmです。
アルミニウムモデルの画面には「Ceramic Shield 2」が採用されました。Appleのテストでは、Series 11のアルミニウムモデルに使われているIon-Xガラスより60%頑丈という結果が出ています。チタニウムとセラミックモデルの前面はサファイアクリスタルです。
広視野角OLEDの常時表示Retinaディスプレイは斜めからも見やすく、最大輝度は2,000ニト。50メートルの耐水性能を備え、シュノーケリング向けに6メートルまで測定できる水深計も搭載します。
バッテリー駆動時間は通常使用で最大24時間、低電力モードで最大38時間です。約30分で0%から80%まで充電でき、15分の充電では通常使用で最大12時間使えます。駆動時間はいずれもAppleの規定条件での最大値です。
Ultra 4は最大50時間駆動。長時間の運動記録にも対応
Apple Watch Ultra 4は49mmのグレード5チタニウムケースを採用し、ナチュラルチタニウムとブラックチタニウムの2色で展開されます。

通常使用時のバッテリー駆動時間は最大50時間となり、2日を超えました。低電力モードでは最大84時間。約45分で0%から80%まで充電でき、15分の充電では通常使用で最大18時間使えます。
屋外での運動記録には、通常のワークアウトに加えて、消費電力を抑える長時間用のモードを用意しています。
| ワークアウトの設定 | 最大記録時間 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 通常の屋外ワークアウト | 18時間 | GPSと心拍数測定を使う屋外ランニング |
| 長時間のワークアウト | 25時間 | 低電力モードでGPSと心拍数を最大頻度で測定。ランニングフォームの指標は利用不可 |
| 長時間のワークアウト(最大) | 45時間 | 低電力モードでGPSを毎秒測定。アラートとスプリットがオフになり、一部の指標は利用不可 |
最大45時間のモードは、屋外ランニング、ウォーキング、ハイキングに対応します。ここで示した駆動時間は、通常使用時もワークアウト中もAppleの規定条件での最大値です。長時間用のモードでは、利用できる機能にも違いがあります。

Ultra 4はL1とL5の2つの周波数を使う高精度GPSや、機能を割り当てられるアクションボタンも搭載。常時表示Retinaディスプレイの最大輝度は3,000ニトで、前面はフラットなサファイアクリスタルです。
耐水性能は100メートルで、水深40メートルまでのレクリエーションダイビングに対応します。
Ultra 4の衛星通信は緊急SOSやメッセージに対応
Ultra 4は全モデルがモバイル通信に対応し、衛星経由の緊急SOS、メッセージ、「探す」での位置情報共有も利用できます。

衛星機能はアクティベーションから2年間無料。提供地域には制限がありますが、日本ではUltra 4の発売後、対応OSや設定などの条件を満たせば、これら3つの機能を利用できます。モバイル通信とWi-Fiの圏外で、空と水平線が見える屋外環境が必要です。また、衛星経由のメッセージと「探す」には通信事業者の契約プランも必要になります。
衛星経由のメッセージでSMSを送受信する場合は、ペアリングしたiPhoneの電源が入り、Wi-Fiまたはモバイルネットワークにつながっていることが条件です。iPhoneがUltra 4の近くにある必要はありません。
9月18日発売。利用する機能によってiPhoneの条件も異なる
Series 12とUltra 4は、日本を含む50以上の国と地域で9月18日に発売されます。Series 12にはGPSモデルとGPS + Cellularモデルが用意されます。
両モデルを使うには、iOS 27以降を搭載したiPhone 11以降、またはiPhone SE(第2世代)以降が必要です。ただし、前述したライブ早戻しとSiri Recapでは、さらに新しいApple Intelligence対応のiPhoneが求められます。
Appleの今回の新製品発表によると、Series 12とUltra 4の高血圧パターン通知は日本では当初利用できないようです。高血圧パターン通知は、光学式心拍センサーのデータから血管の反応を分析し、30日間のデータで高血圧に関連するパターンが継続して確認された場合に知らせる機能です。血圧値を測定したり、高血圧を診断したりするものではありません。