A20 Pro、AI処理を担うNeural Engineが2基に?先行したM6が手がかりに

A20 Pro、AI処理を担うNeural Engineが2基に?先行したM6が手がかりに

Appleが8月25日に発表した「M6」は、同社で初めて2nm世代の製造技術を使ったチップです。Mac向けに登場したこのチップが、次のiPhoneへの搭載が見込まれるA20を予想する手がかりになっています。

MacRumorsは、A20もM6に続いて2nmを採用する可能性が高いと予想。これまではiPhone向けのAシリーズから次のMシリーズを予想していたものの、今回は発表の順番が逆になったと説明しています。

別の製品のチップが参考になるのは、AppleがiPhoneとMacで設計を共有してきたためです。実際にA17 ProとM3は、描画処理を担うGPUの基本設計を共有しています。

では、先に登場したM6から、A20にはどのような進化が期待できるのでしょうか。

AI処理を担うNeural Engineが2基に?

M6の大きな変更点は、AI処理を担う「Neural Engine」が2基になったことです。

A17 Pro、A18 Pro、A19 Proはいずれも16コアのNeural Engineを搭載していますが、M6では16コアのNeural Engineを2基搭載。公称ピーク演算性能は前世代の最大2倍になりました。

Apple M6チップ

M6ではシステム側の仕組みが2基を同時に使い、AIモデルの実行を高速化します。

MacRumorsは、A20で同じようにNeural Engineを2基搭載するとしても、A20 Proに限られる可能性があるとみています。チップの面積や放熱の制約があるためです。

GPUのAI性能は、前世代ほど伸びない可能性も

AIの計算を担うのは、Neural Engineだけではありません。M5やA19 Proでは、描画を担うGPUの各コアにも、AI計算用の「Neural Accelerator」が組み込まれています。

Appleが公表したAI向けGPUピーク演算性能は、M4からM5への世代交代で4倍を超えました。一方、同じ指標でM5からM6への伸びは30%近くにとどまっています。

M6はGPUのコア数もM5の10コアから12コアに増えています。30%近い向上という数字は、こうした構成の違いを含むGPU全体の比較です。

MacRumorsは、この伸び方からNeural Acceleratorの改良は段階的なものになり、A20 ProでもAI向けGPU性能の伸びは前世代ほど大きくならない可能性があるとみています。

Neural Engineの2基化と、GPUに組み込まれたAI用回路の改良。同じAI性能の強化でも、M6では伸び方が異なっています。

AIの回答速度にはメモリの速さも関わる

AIを快適に使えるかを考えるうえで、もうひとつ気になるのがメモリ帯域幅です。メモリからデータを運ぶ速さを示すもので、M6では最大170GB/sとなり、公称値ではM5から約10%増えています。

ただし、M6搭載Mac miniで170GB/sになるのは24GBまたは32GBのメモリ構成。16GB構成は153GB/sで、M5と同じです。

なぜ、AIの話でメモリの速さが重要なのでしょうか。

AppleがM5を使って説明した、文章を理解・生成する大規模言語モデルの動作では、入力された指示を処理する段階は演算性能が主な制約になります。一方、回答を少しずつ生成する段階では、メモリからデータを読み出す速さが主な制約になります。

指示を読み取る処理と、回答を書き進める処理では、速さを左右する部分が違うということです。AI用の演算回路の強化に加えて、メモリ側の変化も気になります。

MacRumorsは、A20 Proのメモリ帯域幅も小幅な向上になると予想しています。また、M6の帯域幅の伸びから、M6には新しいメモリ規格のLPDDR6ではなく、高速なLPDDR5Xが採用されていると推測しています。M6のメモリ規格は公式に確認されておらず、帯域幅だけで規格を決めることはできません。

LPDDR5Xについては、韓国メディアThe Bellも2025年10月、AppleがSamsungに2026年向けの供給増を要請したと報じています。

チップの部品をまとめる方法にも変更の噂

メモリの話に関連して、A20では部品をまとめるパッケージ技術の変更も予想されています。

Ming-Chi Kuo氏は2025年8月のサプライチェーン調査で、A20のパッケージが2026年後半に「InFO」から「WMCM」へ移行すると予測しました。従来のInFO-PoPは、スマホ向けのプロセッサとメモリを重ねる技術です。

WMCMは、複数の半導体チップを1つのパッケージにまとめる技術で、Appleの公開特許にはプロセッサやメモリなどを共通の配線層につなぐ構成例があります。

MacRumorsは、メモリ帯域幅の伸びが小さい場合のAI性能にも触れています。iPhone 18 Proで端末内のAIモデルを読み込んだり実行したりする際の改善には、WMCMによるデータ経路の短縮が大きく寄与する可能性を指摘しています。

ただし、A20でメモリがどのように配置されるのか、データの通り道がどれほど短くなるのかは確認されていません。パッケージ変更による効果も、現時点では同誌の見立てです。

描画の改良にも期待。AV1動画の書き出しには慎重な見方

M6ではAI以外にも、描画処理を担うシェーダコアの設計が更新されています。MacRumorsは、過去にAシリーズとMシリーズでGPUの設計を共有してきたことから、M6の描画機能の改良がA20にも展開される可能性があると予想しています。

一方で、動画の処理には大きな変化が見えない部分もあります。

AV1は、高画質の動画を効率よく圧縮するために設計された形式です。M6は、M5と同じくAV1動画を再生するためのデコードに対応しています。ただし、M6の公式仕様には、AV1形式で動画を書き出すエンコードの記載はありません。

MacRumorsは、新しい2nmプロセスを採用したデスクトップ向けのM6にも記載がないことから、A20 ProでAV1エンコードに対応する可能性は低いとみています。

Source:AppleMacRumorsThe BellMing-Chi Kuo

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